FOLIO 11 KEI録 / Column

軽貨物の安全管理者講習に免除はある?受けないとどうなる(罰則)を現役ドライバーが解説

貨物軽自動車安全管理者講習に免除はあるのか、受けないとどうなるのか。免除の唯一の例外、義務違反・監査・罰則の考え方、2027年3月31日の経過措置までを現役軽貨物ドライバーが一次情報にもとづき解説します。

公開日: 2026年7月14日

貨物軽自動車安全管理者の講習について、「自分は受けなくていいのでは?」「受けないと実際どうなるの?」という疑問をよく聞きます。気持ちはわかります。仕事を止めて5時間の講習を受けるのは、正直おっくうですから。

私は現役の軽貨物ドライバー・配車管理者として、自分でも講習を受けて選任を済ませた立場から、この2つの疑問に正面から答えます。結論を先に言うと、免除は原則なし、ただし期限までにやれば何も怖くない制度です。順番に見ていきましょう。

制度の全体像(何を・いつまでに・どうやるか)は黒ナンバーの安全管理者とは?2027年3月31日までにやることにまとめているので、まだの方はそちらから読むのがおすすめです。

免除・対象外はある?

まず「免除」から。残念ながら、原則として免除はありません

貨物軽自動車安全管理者の選任は、黒ナンバー(貨物軽自動車運送事業)の全事業者が対象です。国土交通省のリーフレットにも「一人で事業を行っている場合でも、自ら安全対策を実施する必要があります」と明記されており、次のような理由での免除はいずれも存在しません。

  • 「1人親方で従業員がいないから」→ 免除されない。自分を選任する
  • 「副業で週末しか走らないから」→ 免除されない。事業者である以上対象
  • 「車が1台しかないから」→ 免除されない。台数の下限はない

唯一の例外: 運行管理者として選任されている者

国土交通省の制度資料では、安全管理者に選任できる者として講習修了者のほかに、**「貨物軽自動車運送事業者が一般貨物自動車運送事業等を経営する場合にあっては、その運行管理者として選任されている者」**が挙げられています。

これは、同じ事業者が緑ナンバー(一般貨物など)の事業も営んでいて、そこに現に運行管理者がいるケースの話です。ポイントは2つあります。

  • **運行管理者の「資格を持っている」だけでは足りない。**現に運行管理者として選任されていることが前提とされている
  • **軽貨物専業なら関係がない。**個人で黒ナンバー1台の場合、そもそも一般貨物事業を経営していないので、この例外の入口に立てない

つまり、この記事を読んでいる大半の方(軽貨物専業の個人事業主)にとって、実質的な免除ルートはない、というのが正直な結論です。該当するか微妙な立場の方は、自己判断せず所轄の運輸支局に確認してください。

受けないとどうなる?(義務違反・監査・罰則)

次に「受けないとどうなるか」です。ここは不安をあおりたくないので、事実を淡々と整理します。

期限を過ぎると「義務違反の状態」になる

経過措置の期限(後述)を過ぎても安全管理者を選任していないと、法令上の義務違反の状態になります。これは解釈の余地がない部分です。

指導・監査の対象になり得る。罰則の規定もある

義務違反の状態は、行政からの指導や監査の対象になり得ます。また、法令には罰則の規定もあるとされています。

ただし、罰則の具体的な内容や実際の運用は状況によって異なるため、この記事では「受けないと罰金いくら」といった断定はしません。ネット上には具体的な金額を挙げている記事もありますが、二次情報のみで断定するのは危険です。正確なところは記事末の国土交通省の一次資料と、所轄の運輸支局で確認してください。

現場目線では「罰則より先に、仕事の入口で問われる」

私が現場で感じているのは、罰則よりも手前にあるリスクです。

荷主や元請けの立場からすると、法令対応を済ませていない事業者に仕事を出すこと自体がリスクになります。実際、委託契約や更新の場面で「安全管理者の選任は済んでいますか」と確認される流れは、これから強まることはあっても弱まることはないはずです。「対応済みです」と一言で答えられるかどうかが、仕事の入口で効いてくる。罰則を恐れて渋々やるより、営業上の武器として先に済ませてしまうほうが得だと思います。

いつまでにやればいい?(2027年3月31日の経過措置)

「今すぐやらないと違反」というわけではありません。期限は開業時期で変わります。

事業者の区分選任の期限
2025年3月31日までに経営届出済みの既存事業者2027年3月31日まで
2025年4月1日以降に経営届出をした新規事業者猶予なし。速やかに選任

注意したいのは、経過措置は「受けなくていい期間」ではなく「この日までに受け終わる必要がある期間」だということです。期限直前は講習の申し込みが混み合うことも予想されるので、余裕のあるうちに済ませるのが安全です。

今からやるべきこと

結論はシンプルです。免除を探すより、受けてしまうのが一番早い。

  1. **講習を申し込む。**eラーニングなら予約不要で、スキマ時間に分割受講できます。実際の受け方や難易度はeナスバで講習を受けてみた体験記に書きました。正直、身構えるような講習ではありません
  2. **選任・届出を済ませる。**講習修了後の手続きは事務作業です。手順は制度解説の記事を参照してください
  3. **記録の習慣を作る。**選任後に毎日回すのは点呼や業務記録です。1人親方の点呼のやり方は一人親方の点呼のやり方にまとめています

制度は知ってしまえば大したことはありません。「免除はないのか」と調べる時間で、申し込みは終わります。期限に追われる前に、先に片付けてしまいましょう。

出典

※本記事の制度情報は2026年7月時点の一次情報にもとづいています。罰則・監査の運用は個別の状況により異なるため、最終的な確認は国土交通省の一次情報および所轄の運輸支局で行ってください。

執筆: 坂本(現役軽貨物ドライバー・配車管理者・KEI録開発者)

本コラムは、現場で毎日法定記録を作成している当事者が執筆しています。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。法令の適用は事業者ごとの状況により異なるため、最終的な判断は国土交通省の一次情報や所轄の運輸支局でご確認ください。

よくあるご質問

1人親方でも講習は免除されませんか?

免除されません。貨物軽自動車安全管理者の選任は黒ナンバーの全事業者が対象で、従業員のいない1人親方も自分自身が講習を受けて自分を選任する必要があります。「1台でやっているだけだから対象外」という区分は制度上ありません。

経過措置期間中なら受けなくていいのですか?

2025年3月31日までに経営届出を済ませた既存事業者は、2027年3月31日までに選任すればよいという経過措置があります。その意味で期間中は義務違反ではありませんが、「受けなくていい」わけではなく「期限までに受ける必要がある」が正確です。なお2025年4月1日以降に届出した新規事業者には猶予がなく、速やかな選任が必要です。

受けずに走り続けたらどうなりますか?

期限を過ぎても選任しないままだと法令上の義務違反の状態になり、行政からの指導や監査の対象になり得るほか、法令には罰則の規定もあるとされています。罰則の具体的な内容や運用は状況により異なるため断定はしませんが、義務違反の状態で荷主や元請けとの契約を続けること自体が実務上の大きなリスクです。正確な情報は国土交通省の一次情報や所轄の運輸支局でご確認ください。

運行管理者の資格を持っていれば講習は不要ですか?

資格を持っているだけでは不要になりません。国土交通省の制度資料で挙げられているのは「貨物軽自動車運送事業者が一般貨物自動車運送事業等を経営する場合に、その運行管理者として選任されている者」です。つまり同じ事業者の緑ナンバー事業で現に運行管理者に選任されていることが前提で、軽貨物専業の個人事業主にはまず当てはまりません。ご自身が該当するか微妙な場合は所轄の運輸支局に確認してください。

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